中核市移行への取り組みについて思うこと

2017年12月14日

本日は、松本市議会総務委員会が開かれました。
市議会の常任委員会では、各定例会で市から提出される議案審査の他に、
委員協議会といって、議会の議決は必要としないものの、
議会との協議や報告の必要がある案件に関して、
話し合われる機会が設けられます。

議会の議決を必要とするものは、
通常、条例改正や市有財産の取得、予算に関するものなどについてです。

今日は、いくつか協議会が開かれた中で、
中核市移行への取り組み状況についての協議会が開かれましたので、
その中で発言させていただいた内容をもとに、ご報告いたします。

松本市は、中核市移行に向けて、慎重に検討を重ねている最中です。

中核市とは、これまで特例市と呼ばれていた、人口20万人以上の市を、
地域の中核的な位置づけにすることで、
これまで県が決定権をもっていた事務事業の多くを市に移して、
市が独自にいろいろな政策を決定できる範囲を増やす取り組みのことを指します。

市が独自決定できるということは、
松本ならではの地域特性を踏まえた行政サービスを
提供できるようになるということを意味し、
これによって、松本市民のニーズにこれまで以上に迅速かつ的確に応えられる
行政サービスを実現させようとするものです。

政治の世界では、
地方のことは地方で決めようという動きのことを、「地方分権」と呼びます。
また、県の決定権を市に移すことを、県から市への「権限委譲」と呼びます。

つまり、松本市が中核市になることは、まさに、地方分権、権限委譲が進むことを意味するのです。

なぜこれが重要なのでしょうか。
これには、少しだけ、歴史の理解も必要になり、
近代国家を目指していた明治時代までさかのぼります。

明治22年、市制及町村制が施行されました。
(大日本帝国憲法は翌年発布)
この制度の歴史的意義とは、それまでの厳しい中央集権体制から、
市町村の権限が拡大されたことです。
しかし、東京市は廃止され、東京都が区を直轄して自治権を制約したり、
知事は中央政府の官僚が務めていたなど、
依然、特に県は中央集権的要素が強いままでした。

昭和22年、地方自治法が施行されました。
(日本国憲法と同時施行)
この基本法の歴史的意義とは、
住民の直接請求権を認めた他、地方議会の権限拡大、
知事を公選制にして県を市町村と同等の地方公共団体として認めるなど、
地方自治を大幅に拡充したことにあります。

このように、地方自治は、様々な綱を渡り歩き、
歴史を積み重ねながら、少しずつ獲得されてきたのです。

従って、地方都市にとって、
地方分権や権限委譲が進むことは、
地方自治獲得の歴史という面で、
長年の悲願でもあるのです。

一方で、中核市になるということは、
保健所の設置が義務付けられるなどの条件も付されています。
これには、新たな固定費の発生など、一定の経費もかかります。

しかし、この問題は、
例えば、ある家庭が普通車の購入について悩んでいたとして、
高いからといって結局買わずに、
自分の足での移動範囲から得られるものと、
たとえ高くても、
買ったことによって可能になった移動範囲から得られるものを考えた場合、
どちらがその家庭にとってよい選択になるか、
という視点で考えてみるとわかりやすいのではないかと思います。
大事なポイントは、車をどのように活用するかということです。

このまちに暮らし続けたいと考える市民の割合が
非常に多い松本市にとって、
地方分権はまさに推進すべき制度であり、
中核市移行について議論するとき、
こうした地方自治獲得の歴史、地方分権、権限委譲の視点なしに語ることはできません。


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