中部縦貫道についての研修会を開催しました。

2020年08月18日

 8月18日、松本市議会中部縦貫自動車道建設促進及び国道158号整備促進議員連盟で、オンライン議員研修会を開催しました。
私は会長就任後2年目となりますが、研修会は発足以来初めてだったようです。
講師は名古屋大学大学院教授の加藤博和先生。徹底した現場主義を貫く、公共交通の第一人者とも言われている方です。
テーマは、「いま高規格幹線道路をつくらねばならない理由」

松本‐波田道路を考える際の2つの視点とは、以下の通りだと説明がありました。
1.マクロ:高規格道路「中部縦貫自動車道」として
・四全総の「交流ネットワーク」を担う広域幹線
・地域より国全体としての必要性

2.ミクロ:一般国道158号線のバイパスとして
・現道は未改良で容量不足。安全性にも問題。
・通過交通排除によって安全性・速達性を高め、現道を地域のための道路に

およそ30年事業化が止まっていた、松本‐波田道路は、国道158号線とのルートが並行していることから、二重投資との指摘も受けやすい一方で、先生はこの道路の果たす役割の大きさにも言及され、今まで事業化が止まっていたことで、大きなデメリットが発生してしまっていると仰いました。
中部縦貫道

しかし、ただ道路さえ作ればいいというものでは決してなく、インターからまちまで、どのように誘導を演出し、まちなかの回遊性を高めるか、道路ができることでまちをどう生かしていくのかのビジョンを描くことが必要だとも。
特に、インター周辺を看板だらけにしたり、全国どこにでもあるような商業施設を建設したりすることには強い懸念を示され、まちが近づくワクワク感を演出し、まちなかを回遊できるようにすることが重要、と強調されていました。
道路とまちの回遊性をセットで考えることの必要性を痛感されている先生ならではの、的確なご指摘だと思います。

一方、恩恵を受ける人、損失を被る人などが発生するため、便益帰着構成表のようなものを作成し、損失を被る人に対しては、対応を考える必要があることにも触れられました。

ところで、冒頭2つの視点でも示しましたように、松本波田道路は、松本だけの問題ではありません。この事業は、四全総(第四次全国総合開発計画、1987)時代の計画ですが、総計画の85%が完成している、国家プロジェクトなのです。
つまり、全国の高規格幹線道路網を見ると、ほとんどの道路はすでに完成しているのですが、松本で完成が遅れているために、松本以西から岐阜県や北陸方面にかけ、大きな空白地帯が生じてしまっているのです。
高規格幹線道路網
高山市とサムライルートを形成して頑張ってきた本市にとって、これは致命的です。

それだけではありません。

到達所要マップ等の情報から、松本は移動環境の評価も長野や甲府より低いだろうと予測でき、先生曰く、「松本はすでに高速交通網から取り残されている」と。
これからは、モノ・人・情報が動く「対流促進型国土」を形成する時代ですが、それは高規格幹線道路網の完成が大前提となっているため、松本はこうした流れからも遅れをとっているのです。
今、松本がいかに辺鄙な場所、不利な状況下にあるかという事実を、もっと私たち自身が真剣に受け入れ、国に的確な情報と共に要望していくべきだ、と警鐘をならされました。

私たちは、これまで、生活者の目線を中心に国へ要望等をしてきましたが、もっと、制度やデータに基づいたマクロの視点から松本‐波田道路を眺める必要があった事に気づかされ、あらためて危機感を感じたのでした。

158号線は、上高地の行楽シーズンにはありえない大渋滞を引き起こし、ひとたび事故が起ころうものなら、何時間も足止めになる、とても使い勝手の悪い道路です。こんなにコンディションの悪い道路を、なんで長年放っておいたのかと、お叱りも受けてしまいました。また、先生は、上高地へは、P&R(パークアンドライド)を波田あたりにつくり、公共交通を優先して走らせた方がいいとアドバイスをくださいました。

過去の経過にとらわれて損失を生じさせ続けるのか、未来を見据えてしなやかに生き残る松本を創るのか、私たちは、もっと具体的な展望を描きながら、この問題に向き合っていかねばならないのだと思いました。

加藤先生には、大変お忙しい中、快くご講演を引き受けてくださったこと、心より感謝申し上げます。

target="_blank">8/19 市民タイムス
8/19 市民タイムス(赤羽洋輔記者)


8/19 信濃毎日新聞8/19 信濃毎日新聞


同じカテゴリー(活動報告)の記事画像
【3/9木藤波田商工会長の旭日単光章受章祝賀会で慶祝演奏をしました】
【県議会もあと1週間】
【ホットなラジオ番組】
【松本カリーラリー2025】
【2/26 一般質問します】
【ホットなラジオ番組】
CONTACT

皆さまのお声をお聞かせください。 県政に関するご意見・ご要望などなんでもお待ちしております。